JTTMAコラム

【JTTMA】僧帽筋の施術を解剖学でグレードアップ|触診・機能・ストレッチ ~前編~


こんにちは!JTTMAの小澤です。

今日は「僧帽筋」という筋肉についてお話ししていきたいと思います。

「肩」をほぐす施術は、タイ古式マッサージの中でもお客様からのリクエストが特に多いところですよね。それなのに、「一般的な僧帽筋への施術をしても、全然ほぐれないんです」というお悩みを、本当にたくさんのセラピストの方からお聞きします。

実はその理由は、解剖学で説明できることが多いんです。今回は前編・後編の2回に分けて、よくある施術を解剖学の視点からグレードアップしていく方法、どんな人の僧帽筋が硬く凝りやすくなってしまうのか、そして僧帽筋の知識をどのように技術に活かしていけるのかをお伝えしていきます。前編では、まず土台となる「僧帽筋の位置と機能」について、上部を中心に見ていきましょう。

 

こちらの動画を参考にしてください。

よくある僧帽筋の施術と、セラピストの悩み

僧帽筋の施術でよく見られるのは、首に近いところや、皆さんがいわゆる「肩」と呼んでいるところへのアプローチです。

セラピストの膝の上にお客様の前腕を乗せて、お客様側にある手で「肩」をほぐしていく。こういった施術が一般的に多いかなと思います。

この施術自体が悪いわけではありません。ただ、「ほぐれない」と感じているのであれば、解剖学の知識を加えることで、さらにグレードアップできる余地があるということなんです。施術の話に入る前に、少しだけ解剖学のお話をしていきましょう。

セラピストがまず覚えるべき2つのこと

すでにセラピストとして仕事をしている方が、今から専門学校に通って、月曜日から金曜日まで朝から晩まで身体のことを勉強して国家資格を取る……というのは、なかなか難しいですよね。

それでも、リラクゼーションとはいえ、身体のことは少しずつでも勉強していった方がいい。そして、どうせ勉強するなら、お客様の役に立つやり方で学んでいくのが一番だと思います。

では、何から始めればいいのか。僕は次の2つだと考えています。

1つ目は、筋肉を正確に触れるようになること。僧帽筋が身体のどこにあるのかを知ることです。

2つ目は、筋肉の機能を覚えること。僧帽筋に力が入ったとき、どんな関節の動きが起こるのか。あるいは、どういう状態だと僧帽筋が硬くなってしまうのか。こうした日常生活に結びついたところを知っていきましょう。

筋肉がどこからどこについているかを知ると、正確に触れるようになり、ストレッチもしやすくなります。タイ古式マッサージは「ほぐし」と「ストレッチ」の2つの要素でできている施術です。この2つを意識しながら、解剖学の勉強を進めていきましょう。

僧帽筋上部はどこからどこについている?

まずは僧帽筋の上部から見ていきます。

頭を坊主にしたとき、後頭部にちょっとボコッと出ている骨があります。これを「外後頭隆起」といいます。僧帽筋の上部は、この外後頭隆起から「上項線」という部分、そして「項靭帯」を経由して頸椎の棘突起についています。

そこから集まっていく先が、鎖骨の後面です。さらに、肩峰にもついているといわれています。

つまり、僧帽筋の上部は、思っている以上に後頭部から前に向かって出てきているということなんです。ここが、いわゆる肩こりで使われるところですね。

僧帽筋上部の機能

肩甲骨への働き

僧帽筋の上部に力が入ると、肩甲骨を上に持ち上げます。正確にいうと、鎖骨を上に持ち上げることで、結果的に肩甲骨も持ち上げられる、という仕組みです。これを「肩甲骨の挙上」といいます。「肩」をすくめるような動作ですね。

また、肩関節を外転(腕を横に上げる)させるとき、肩甲骨が一緒に上方回旋して上に上がる働きもあります。

頭部・頸部への働き

僧帽筋の上部は、頭部や頸部にも機能を持っています。

おじぎをしたような状態から上を向くとき、つまり頭部の後屈で使われます。たとえばデスクワークで頭が前に倒れていきやすい方は、頭が倒れないように頭や首を支えるために、僧帽筋がずっと働いている状態になります。

さらに側屈、首を横に倒す動きにも関わります。横向きに寝たまま携帯電話をいじっているような方は、首を支え続けるので、首周りがとても張りやすいんです。

起始と停止から考える「対側回旋」

起始と停止がわかっていると、ここがすっきり理解できます。

上部は外後頭隆起から鎖骨についているので、左の僧帽筋は、顔を右に向けると頭と鎖骨の距離が近づきます。反対に左を向くと、鎖骨から頭が遠ざかっていきます。

そのため、左の僧帽筋は右側への回旋動作で使われる、といわれています。これを「対側回旋」といいます。

まとめ

前編では、僧帽筋の施術をグレードアップするための土台として、セラピストがまず覚えるべきことと、僧帽筋上部の位置と機能についてお話ししました。

僧帽筋の上部は、外後頭隆起から頸椎を経て、思っている以上に前側の鎖骨の後面や肩峰までついています。そして、肩甲骨の挙上や上方回旋だけでなく、頭部の後屈、側屈、対側回旋といった首の動きにも関わっています。

こうした機能を理解すると、日常生活の中で同じような動作を繰り返している方は、僧帽筋を使いすぎている可能性がある、ということが見えてきます。そして、機能がわかっていれば「ではどうストレッチすればいいのか」も自然とわかるようになってきます。後編では、そのストレッチの考え方と、中部・下部の機能、触診の方法、そして実際の施術のグレードアップについてお伝えしていきますので、ぜひ続けてご覧ください。


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それでは、また次回お会いしましょう。ありがとうございました!

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